PUNCTUM TIMES No. 16

大森克己 x 川内倫子 イスタンブル

KATSUMI OMORI x RINKO KAWAUCHI  ISTANBUL

PT_16_w600

約1年半ぶりのプンクトゥム・タイムズ第16号は、二人の写真家・大森克己と川内倫子によるコラボレーション写真集『ISTANBUL』です。
ボスポラス海峡をはさんでアジアとヨーロッパ、2つの大陸の境界に位置する東地中海地域の大都市・イスタンブル。歴史上の名前の変遷だけでも、ビザンティウム(Byzantium)、コンスタンティノポリス(Constantinopolis)、イスタンブル(Istanbul)といくつものレイヤーが重なります。
ある雑誌の依頼で大森と川内が訪れた2012年8月下旬、街は強い太陽の光に満たされ、ラマザン(断食)明けの開放的な雰囲気に包まれていました。
二人の写真家は、ほとんどの時間を共にし、同じ時に同じ場所で数多くの撮影を行いました。
二人の視線の交わりの化学反応が産み出した、現実のイスタンブルとパラレルな新しい世界の旅の記録をお楽しみ下さい。
紙面のデザインは峯崎ノリテルが担当しています。

大森克己

イスタンブルを訪れた。ボク自身が瀬戸内海に面した街で生まれ育ったからか、坂道が多くていろんな場所から少しずつ違う表情の海が見えるこの街のことがとても好きになった。狭い海峡を越えると「こちら側」とほんの少しだけ違うかもしれない「向こう側」の世界があるということがワクワクするのだ。旅人や商品を乗せてアジアとヨーロッパ、あるいは黒海とマルマラ海を行き来するたくさんの船は人間や荷物と一緒に風や空気も運んでいるみたいで、街全体に開かれた雰囲気が満ち溢れている。滞在していたホテルの真横にはモスクがあってスピーカーから毎朝5時に大音量のアザーン(礼拝の呼びかけの声)が響き渡る。夢うつつで、遠い所に来ちゃったんだなという想いや、懐かしい祖父の声が蘇ってくるような感覚やら、もう少しだけ眠っていたいんだけどなぁ、という気持ちが入り交じって一日が始まり、だんだん明るくなっていく東の空をただじっと見つめていた朝はなんだか不思議に幸せな時間だった。

川内倫子

イスタンブルに滞在中、毎朝滞在先の新市街のホテルから旧市街へと、メトロと路面電車を乗り継いで通った。
まるでまじめな勤め人が会社に出勤するみたいだなと思いつつも、気持ちは写真を始めたばかりの頃の学生のようでもあり、目のまえの景色はどれも退屈することなく新鮮に見えた。
最終日、昼間から男たちが魚釣りをしている姿を横目に大汗をかきながらガラタ橋の上を歩いていると、東京の自分の日常がやたらと遠く感じていろんなことがどうでもよくなってきた。仕事の締め切りだとか生活上の雑用だとか未来に対する漠然とした不安とかこまごまとしたことで自分の日常は成り立っているんだけど、そういったことからふっと解放されたような。
真っ青な空の下、照りつける陽射しに自分の肌からじりじりと音が聞こえるようだった。橋を渡り切ったらとにかくまずはサバサンドを食べるんだ、と思ったら、ちょっとわくわくしてきて、ああ自由だな、と思えた。

We are very pleased to announce that we will issue the PUNCTUM TIMES featuring the two Japanese representative photographers, Katsumi Omori and Rinko Kawauchi.
They went to Istanbul, Turkey together in 2012. Almost of those photographs were taken at the same time and the same place in late August.
On seeing this issue, I can realize the difference of their way of shooting and reacting to light. They are very cool.

Date of Issue: December 25, 2012
Format: Tabloid (408×273mm)
Pages: 32
Edition of 1000 copies
Published by PUNCTUM
Publisher: Issei Teramoto
Logo Designer: Masayoshi Nakajo
Designer: Noriteru Minezaki
Sales Manager: Aco Kogure
Printing Director: Akinobu Sekiya
Printing Manager: Kazuyuki Yabu
Printed by Kumano Shimbun Co., Ltd.
Printed in Kumano
Special Thanks to Tami Okano and Nobuhiro Sugie for BRUTUS Magazine